33歳男の苦悩「一生リゾートバイト生活は限界がある」9年間住み込みで生計立てた人をリポート

※会社員という道ではなくリゾートバイトをする人々は何を考えどうのように生きているのか?リゾバ経験のある私さやだんごが「リゾバで生きる人」に焦点を当てたリポートしていく。
さやだんご
今回紹介するのは「9年間住み込み仕事を続けて33歳からエンジニアに転身をしようとする男性」です。

9年間リゾートバイトで転々と生活をする男性

今年で33歳になる男性、サトさん(仮名)。

春~初夏は農家、秋は温泉地、冬はスキー場。ここ2~3年はもっぱらこのルーティンで1年を過ごすそう。まさに、完全な季節労働者だ。

月収は、15万~24万。職場の時給や繁忙期閑散期によってだいぶムラがある。

しかし、必ず住居を無料提供してくれる条件のところで働くので家賃は0円。食事も支給してくれるところだとさらに有難いが自炊が必要な職場では自分で作っているそう。

「貯金はそれなりにありますし月10万以上もらえれば生計立てることは可能です。お金もあんまり使うタイプでもないので少ないと感じることもありません。」

年収は、200~250万円前後。生活の拠点は決まっていなく、おおよそ3ヵ月ごとに仕事とともに住処を移す。

そんなサトさんは半年前からプログラミングの勉強を始めたという。リゾートバイトの休憩時間は勉強に充てているとのこと。

「一生涯リゾートバイトで生きることは無理だと思ってます。」

「エンジニアになるためにリゾバ生活を辞めようと考えているんです。」

なぜ、9年もリゾバ暮らしをしてきて、今その生活を辞めようとしているのだろうか。

サトさんの生い立ちから9年の住み込み生活を始めたいきさつ

生まれ育った家庭は普通だったと思う。毎年、誕生日には欲しいモノを買ってもらえた。

塾や習い事にも行かせてもらった。私立の大学の費用ですらすべて賄ってもらえた。何不自由なく育った。

むしろ、ちょっと甘やかされた方かもしれない。

そんな、俊さんの歯車が狂い始めたのは、社会人になって1年目のことだった。

就職先は上場している会社で順風満帆だと思っていた。親戚からも大いに祝福された。

ただ、仕事内容や職場環境はサトさんには合っていなかった。

「いわゆるブラック体質な企業でした。」

仕事ではかなり厳しいノルマを課される営業。全然成果が上げられなかった。

しかも、自分の直属の上司は仕事こそできるものの社内で一番の鬼軍曹と恐れられる人。

最初は、結果を残せなくてもまだ入社したてだからと許された。ただ、同期の新人が結果を残し始めたあたりで、徐々に叱責を受けるようになった。

人生初の挫折

社会人になるまでは、それなりに頑張れば努力は報われたのでそれを信じてやっていたが結果は全然ふるわなかった。

月末になると上司から叱責を受けることを想像して仕事が手につかなくなっていき、遂に、会社に行けなくなった。

病院に行くと案の定、鬱病との診断だった。

転職を試みるも1年も経たずに辞めた自分を快く迎えてくれるところはなかった。とにかく、生活費も必要だったのでバイトを始めた。

アルバイトも嫌なことがあるとすぐに辞めては新しいバイトへと移り変わっていった。

「もともと、1つのことを長く続けられるタイプじゃないのかもしれない」

今振り返ると、小学生の習い事も水泳、サッカー、ソフトボール、テニスと3年以上続いたものはない。中学は陸上をやったが、高校ではバレー部だった。

アルバイトを転々とするうちに月給は減っていき、1人暮らしをするのも厳しくなってきた。

「親にだけは心配をかけたくなかった。」

家賃の支払いに困窮した時に目についた求人がリゾートバイトだったという。

リゾートバイトをしてみると前向きになれた

地元の友達や大学の同期にも、定職に就いてないのが恥で顔を合わせることを避けていた。

だから、自分の知らない土地で住み込みで働くことに特に高いハードルは感じられなかった。

「誰も自分の過去を知らないところに行けることを歓迎する自分がいましたね。なんとも言えない開放的な気分でした。」

リゾートバイトは派遣社員。最初は、職場で肩身の狭い思いをして働くかもしれないという不安があった。

が、それは杞憂に終わった。

そこは慢性的に人手不足の職場だったので、飲食業未経験者の自分ですらかなり重宝された。

もちろん、職場を回す人員が足りないので残業、長時間労働は当たり前だった。残業代は働いた分しっかりでるし、仕事も慣れてしまえば手の抜き方もわかるので苦痛ではなかった。

さらに、そこで出会った他のリゾートバイトとの交流も刺激的だったという。

リゾートバイトで日本一周している人。半年リゾバでお金を貯めては海外に行ってのんびり暮らす外こもり。世界二周目を計画している女性。

リゾバしている人には前向きな人ばかりではなく、自分のようにどこか逃げのような選択をして来ている人もいる。

正直、私自身も最初は前向きな人を避けてたけど、仕事でコミュニケーションを取るうちに打ち解けるようになった。

そして、彼らの話を聞くほどに自分も前向きになれた。

正社員として働いている旧友からの後ろめたい視線があったが、

「自分の生き方もこれでいいんだ!って信じれましたね。」

最初のリゾートバイト皮切りにリゾバ生活を開始

都内で1人暮らしでバイトを転々としているよりも、リゾバで転々と生活する方がとても充実していた。

  • 家賃、食費が浮くので毎月10万円以上お金が貯まっていった
  • 嫌な職場に行ってしまったらすぐ辞めて次のところに移れる
  • 派遣会社に登録して「働きたい」と伝えれば簡単に働ける
  • 職場で仲良くなった年下の女性とも観光を楽しめる

社交的なタイプではないが、仕事は真面目にこなすので好感を持たれやすく、孤独になることはなかった。

3ヵ月働けば30万円以上貯金もできる。次の職場に移る前に2週間~1ヵ月長期休みと称しのんびり海外生活を送れるのが何よりも自分のスタイルに合っていた。

最初の1年はホテル旅館を転々としていたが、2年目からはスキー場や農家、牧場などいろいろなリゾートバイトをするようになった。

それに気に入ってもらえた職場は、翌年から希望すれば優先的に雇ってくれる。

自分の実家に戻るよりも、また戻って働きたいところは数件ある。

一生リゾートバイト生活に限界を感じた出来事

スキー場でプライベートでゲレンデにいる時に、衝突事故。

あばら骨折し、全治3ヵ月の入院生活。必然的に、職場は解雇。

スキー保険に加入していたものの、一番簡易なプランだったため補償費は数千円。元々加入してある健康保険の補償があったとしても、残りの入院費は貯金を切り崩さなければならなかった。

「収入はなく。日々減りゆく貯金。初めて将来への不安を感じました。」

もし、今後年齢を重ねて病気に罹ったとしたら今のペースで生活を続けられなくなる。

リゾートバイトは所詮アルバイト仕事。時給の高い職場に行けたらラッキーだけど、収入の上がり方には限界がある。ここ数年の年収は200~250万。

この先もずっと同じくらいの年収でやっていけるのかと考えるといっそう不安が募っていったという。

今はリゾバの合間にプログラミングを勉強

「場所を選ばず働くならエンジニアになるしかないと思ったんです」

リゾバの中抜けの時間を利用してエンジニアになるべくプログラミングの勉強をしているそう。

「正直、今から新しいことを始めるのは億劫でした。でも、ずっとリゾバ生活をして将来にビクビクしているよりはマシ」

一度都内で就活をしたけど「経験不足」ということで上手くいかなかったそう。独学で自分である程度できるようになれば振り向いてくれる会社があるかもしれない。

正直、30過ぎと言う年齢はかなりのハンデ。でも、やることをやれば30代未経験からでも就職できた体験談を読んだ。

「まさに、ぼくの希望でしたね。」

現在、サトさんは9年という長いリゾバ生活に終止符を打ち、新たな人生を歩もうとしている。