「100万円以上も貯金できます!」
「日本人がいない職場で、グローバルな交友関係を作れます!」
「働きながらリゾート観光!」
海外でリゾートバイトを始めようとする人が目にする口コミは、だいたいこのような感じだと思います。
しかし、いざ憧れの海外生活を始めたのはいいものの、せっかく語学学校に通っても英語を勉強する場所としてしか活かすことができず。
なんとなーく日本人同士のコミュニティに入ってしまって、手っ取り早く滞在費を稼ぐのにジャパニーズレストランでバイトを始めちゃって、当然会話も日本語ばかり……そうこうしているうちに、あっという間に一年が過ぎてしまいます。
そうして、ふと自分の海外生活を振り返った時に、
「結局、日本でバイトしているのと、あまり変わらなかったなぁ」
……そんな後悔、絶対にしたくないですよね。
実は、せっかくの留学やワーホリで海外での生活に踏み切っても、上記のような負のスパイラルに陥ってしまう人は少なくありません。そうならないためにも、仕事は絶対にローカルを探すべきなんです。お給料も、働き方も、英語に触れる機会も、ジャパレスとはまるで違います。
中でも「リゾートバイト」は、ほぼ確実に英語環境での就労で、収入も安定しており、更には働きながら観光ができるという特典まで付いた超お得物件!
「でも、そんな美味しい話が本当にあるの……?」
そう疑問に思われるでしょう?
当然ながら、良い思い出ばかりではありませんでした。それでも今では、こうして記事にすることで人に勧められるくらいには、「リゾートバイトを経験してよかったな」と思っています。
この記事では、海外のローカルジョブの中でも「リゾートバイト」について、私が実際に体験した事実を元に、リゾートバイトの長所と短所、必要な英語力や仕事内容、さらには実際どれくらい稼げたのか、どんなことが辛かったのか、等々……すべて、赤裸々に語っていきたいと思います。
オーストラリアでリゾートバイトを始めた経緯
当時の私は、ワーキングホリデービザを使ってシドニーに渡航していました。
4ヶ月の語学学校での勉強を終えて、友人の伝手で働き始めたジャパレスで週4~5で働いていました。
当然のようにお給料は最低賃金を大きく下回っており、家賃と生活費をギリギリ賄えるかどうか、といったところ。旅行に行ったり、奮発して高いレストランに行ったりしようと思っても、貯金する余裕なんてありません。
その割に仕事はかなり忙しく、憶えることも多かったので、終わって帰宅する頃にはクタクタで、観光や英語学習に費やせるのは週に1~2日程度でした。職場の人間関係もギスギスしていて、はっきり言って、働いていてよかったと思ったことはほとんどありませんでした。
こういう状況に陥ってしまうワーホリ渡航者は、けっして珍しくありません。
ローカルのジョブを探そうとしても、経営者からしてみれば、当然ながら「6ヵ月しか働けず英語も不自由な日本人」を雇うより、「英語ネイティブのアルバイト」を雇う方が安心です。
一方で、ジャパニーズレストランは低賃金の割に仕事量が多くてハード、人の入れ替わりも激しいので、形だけの面接と日本語の履歴書を送って即採用、なんてのもザラでした。
それでも、英文履歴書を何枚も用意して、英語の面接の練習をして、何十何百ものお店に足を運んで……なんてするよりも、目の前の安易な選択肢で妥協してしまうのが人の性。
「せっかく海外に来たのに、これじゃ日本で仕事しているのと同じだ! お金と時間がもったいない!!」
そう嘆いていた私のところに、友人が「リゾートバイトを斡旋している留学エージェント」の話を持ってきてくれたのが、最初のきっかけでした。
ワーホリ生活に手詰まり感を感じていた私は、すぐさまその話に飛びつき、あれよあれよと手続きを進めて、ひと月もしないうちにジャパレスを辞め、リゾート地へと飛び、仕事を始めていたのです。
オーストラリア・海外リゾートバイトの良かった点
収入が桁違い!「100万円稼げます」はウソじゃない!
結論から言うと、海外でのリゾートバイトは本当に稼げました。
私の場合、「有給ホテルインターンシップ」という扱いだったのですが、アルバイトではなく正規雇用(フルタイム)の職員として扱ってもらえるため、オーストラリアの各州が定める最低賃金は必ず保証してもらえました。
加えて、残業や休日出勤に対しては、本来の時給の倍近く支払われる制度もあります。繁忙期や団体客がまとまって来るようなシーズンだと、助っ人で他の職場に派遣されることもあるので、あっという間にお金が溜まっていきました。
就労先から指定された時給は21$。
当時の1オーストラリア$が約80~90円ほどだったので、約1800円とします。フルタイムで必ず週5日、8~10時間ずつのシフトが入っており、1カ月の給料がだいたい30万円弱。ただし、ここからリゾートバイトの職員用の寮費と、税金が引かれます。
また、私の場合は、携帯電話とポケットWi-Fiの月々の契約がありました。出勤日はまかないが出ますが、休日は自分で食べ物を調達する必要があるので、最低限の生活費もかかります。
しかし、それらを差し引いても月に25~27万円ほどが口座に残りました。ジャパレスの時給とは比べ物になりません。
さらには一定期間働いた職員に対して有休が支給されるのですが、それを辞めるまで使わなかった場合、「その有休の日数を働いていたものと見做して、給料換算で支給する」制度まであるのです。
…といったような具合で、結局5カ月ほど滞在して、最終的な貯金額が約120万円。
私の場合、体力的な余裕がなく、休日出勤の依頼が入っても全部パスしていたのですが、それでも十分すぎるほどの滞在費用を稼ぐことができました。同期に入った韓国人は、私より短い滞在期間ながらも休日出勤を必ず取って、150万円近く稼いだ、などと話していました。
英語力がメキメキ伸びる!多国籍な職場で英語漬けの生活
それから、英語力について。これは本当に、我ながら見違えるほどに伸びました。
英語学習において、海外生活を経験した人が最も習熟を実感するのは「リスニング」力だ、というお話もありますが、働いていてその理由を実感しました。
当時の私は、英語力は語学学校の基準でも「Upper Intermediate~Advance」ほどで、特に聞き取りや発音については語学学校の教師の方々からも「Advancedの中でも上級」とまでお墨付きをもらっており、英語力についてかなり自信を持っていました。同じワーホリ日本人からも頼りにされていたので、ちょっと鼻にかけていたところもあったと思います。
しかし、リゾートバイトを体験することで、自分が井の中の蛙、いやそれ以下であったことを思い知ることになったのです。
ネイティブの会話スピード、自分の知らない表現、作業しながら簡単な指示を聞き取ることすらも難しい。意思疎通を図ろうとしても脳みそが疲弊して、とっさに必要な英語が出てこないので、初めのうちはよく周囲を困らせていました……。
しかし、そのスピードに慣れてくると、相手の話を自分なりに要約したり、相手の表現を真似したり、少しずつ余裕が出てきます。そつなく話せるようになれば仲良くもなるもので、そこからお互いの来歴についてガッツリ話し合ったり、下世話なネタで盛り上がったり……正直、語学学校よりもよっぽど濃密な異文化交流と英語学習の実践となりました。
リスニング力や、会話表現のバリエーション、なにより「過酷な環境で生き抜いた」という自負や度胸が身に付いた結果、就業を終えてシドニーへ戻る頃には、ネイティブにも怯まず話しかけられるほどになっていました。
ちなみに、帰国後にTOEIC公開テストを受けてみたところ、なんと出国前より150点以上もアップ! 特にリスニング問題は、かつての苦手が嘘のように、するすると耳に入ってきたのです。
収入面と、英語力の向上。この二点に関しては、リゾートバイトに勝る海外体験はない、と個人的に思っています。
オーストラリア・海外リゾートバイトの悪かった点
英語に慣れるまでが大変!英語ハラスメントは本当にあった?
しかしながら、当然物事には良し悪しがあり、特に英語での意思疎通に慣れるまでの数週間は、本当に精神的にしんどかったです。笑
寛大な相手なら、こちらが英語に不自由していることを最初の2~3回のコミュニケーションで理解してくれるので、容易な英語を選んで、ゆっくりとこちらに合わせて話してくれるのですが、全員がそうとは限りません。
当然忙しい時期は、指示やコミュニケーションも雑になりますし、そうでなくとも「めんどくせーなコイツ……」みたいな対応をされることもしょっちゅうあります。
また、その「英語が出来ない」ことの副次的な影響として、しばらくは職場で居心地の悪い思いをしていました。
「日本人はまじめで勤勉で愛想もいいから、グローバルな職場では、それだけで重宝されるし、受けも良いんでしょ?」
「外国人は物事をはっきり言うから、何かあっても正面からちゃんと言ってくるし、陰湿ないじめとか陰口はないんでしょ?」
はっきりいいます。こういった風聞は、日本人にとって都合の良い“まやかし”です!
リゾートバイトは事業としてはかなり大きいものなので、当然そこで働くスタッフも厳選されています。まじめで勤勉、一生懸命なのは当たり前。要領良く、キビキビと動いて、相手が望むことを言われる前に察して用意しておく、なんてのも当たり前。
いじめや陰口に関しては、これに関しては個人差だと思うのですが、相当キツいものがありました。幸いにも相手は一人で、他のスタッフが庇ってくれることもあったのですが、原因はやはり「英語がなかなか通じない」=「仕事が出来ない、要領が悪い、職場で足を引っ張っている」と思われていたことだったらしく、わざと早口かつ難しい英語で、聞こえるように悪口を言われるなど……。
有り体に言えば、英語ハラスメントですね。
けれども、やはりこちらの能力が足りていないことが原因というのが難しいところのようで、上司に相談してもどうにもなりませんでした。海外の職場の方が、実力優先的な指向にあるというのも本当のようです。
現場は体力勝負!週40時間、立ちっぱなしで働けますか?
また、体力的にも相当な負担があります。……とはいうものの、これに関しては個人差もあり、職種にもよりけり。
ただ、基本的には週40時間弱、立ちっぱなしで動きっぱなしの肉体労働ですから、初めの数週間は全身の筋肉がビッキビキでした。私にリゾートバイトを紹介してくれた友人は、かなり本格的な運動部経験者だったのですが、彼女も「慣れるまでは仕事以外はずっとベッドで寝ていた」とのこと。
たまの休日に、リゾートを満喫する体力なんて残されていません。笑
そんなこんなで、デスクワークや英語の勉強で甘やかされていたわがままボディは、仕事を終えるころには20kg以上もの減量を果たすこととなったのです。
「リゾートで楽しく稼いで英語力もアップ!」といったような謳い文句を、誇大広告とまではいいません。しかし、それを期待して渡航すると、思わぬしっぺ返しが待っているかもしれない、ということです。
実際、期待していた職場と現実とのギャップに、入って1ヵ月もせずに辞めていってしまうような人もいました。
どちらかというと、「多少キツくても、自分を変えるきっかけが欲しい」だとか、「旅費や学費のために○○円稼ぎたい」といったような、目的意識や明確なゴールを持ってリゾートバイトを始めた人の方が、長続きもするし、最終的に成功体験へと結びつけていた印象を受けました。
オーストラリアリゾートバイトの仕事の種類
斡旋される仕事は、派遣される地域によっても異なります。ただ、リゾートバイトなら、だいたいはキッチンハンド(厨房の雑用)か、ホテルのハウスキーピング(室内の清掃など)が主になるでしょう。
- 皿洗い、調理器具の洗浄
- 厨房の清掃
- 食材の下処理
- 食材の在庫整理、在庫管理
基本的にはシェフのサポートというか、厨房の「調理以外のすべての作業を担当する」という表現が適切かと思います。キッチンスチュワードという言い方もありますね。将来的にシェフなどの調理系の職業を目指す人や、過去に飲食店でアルバイト経験がある人などが応募します。
基本的に動き回る仕事なので、体力的にはかなりハードですし、汚れることも多いのですが、あまり難しい作業を要求されることはありません。皿洗いや調理器具の洗浄は、ディッシュウォッシャーが設置されている職場が多いので、そこまで苦にはなりません。
衛生管理の行き届いている職場に配属されると、清掃がちょっとしんどいかな、という程度。食材の下処理や在庫整理は、一度覚えてしまえば手を動かしながら同僚と談笑できます。
特典としては、シェフと仲良くなるとまかないが豪華になったり、新作メニューの味見を頼まれたりします。笑
- ホテルの客室や廊下の清掃
- アメニティの補充と在庫管理
- シーツなどの洗濯
こちらに関しては、友人からの伝聞となってしまうのですが、日本のホテルのハウスキーピングと大きくは変わらないそうです。スケジュールが時間で管理されており、○時からあの作業、×時頃からこの作業……といった具合のルーティンがあるとのこと。
業務としては単調なものなので、「正直退屈だった」という感想もある一方、仕事の負担が少ないので余暇を存分に満喫できるといった長所も。また、正式な業務ではありませんが、日本人のお客様から臨時で通訳を頼まれることもあるようです。
稀に、上記の仕事以外のレアな仕事が斡旋される場合もあります。
私の知る限りでは、ホテルのレセプションや、有名レストランのホールスタッフ、アクティビティの添乗員なんていうのもありました。ただし、いずれも相当の英語力や交渉力、前職での経験、さらにはお客様の要望に対して咄嗟の機転が利くなど、いくつかの有利な長所が必要となってくるようです。
仕事の流れと環境
参考までに、当時の私の仕事やシフトの内容について、ご紹介します。
私の職場は、二人のキッチンスチュワードを日中担当・夜担当に分けて回していました。私は基本的には夜担当であったので、シフトも夕方から開始となります。
- 15:30 ……出勤
- 15:30~16:00……ゴミ捨て、備品の補充、シェフのためのドリンク調達など。
- 16:00~17:30……食器洗い。皿などが溜まっていなければ、食材の下処理の手伝い。貝を剥いたり、野菜や果物を切ったり。
- 17:30~18:00……休憩。シェフに事前に頼んで軽食を作ってもらい、食べておきます。
- 18:00~22:00……レストランが開店。一番忙しい時間帯。ひたすら食器洗い。
- 22:00~22:45……頃合いを見て、床やマット、調理器具の洗浄を開始。
- 22:45~23:00……ゴミ捨て、電気や施錠の確認。
- 23:00 ……退勤
正直に言うと、これは「かなり上手く仕事が運んだ日」のシフトです。最初の2~3ヵ月くらいは、全然仕事に身体が追いつかず、ほぼ毎日のように残業しては注意されていました。月に3~4回は、日付が変わってからの帰宅になっていたと思います。
また、日中担当のキッチンハンドが休日の場合は、日中・夜の両方のシフトをこなさなくてはなりません。
- 08:00 ……出勤
- 08:00~10:00……食材などの荷受け、備品の補充、在庫管理。暇を見て食器洗い。
- 10:00~12:30……レストランが開店。ひたすら食器洗い。
- 12:30~18:00……一時帰宅。体力回復のために仮眠。
- 18:00 ……再出勤
以降は上記のシフトと流れは同じ。ですが、忙しさも疲労も倍以上の体感です。
大きな職場だと、複数人のキッチンハンドを雇っているので、曜日ごとにシフトが変わったりはしません。
その他の業務
上記が基本的な流れになりますが、その他にも不定期でいろんな仕事を割り振られることがあります。
おそらくどこに行ってもあるのが、「日本人観光客の通訳」。リゾート地であれば、ツアー等を利用している観光客がメインではあるのですが、ツアーコンダクターの方とはぐれてしまった人や、独力で観光にきたけれど咄嗟の英語が伝わらなくて困っている人などが出た時に、緊急で呼び出しをくらいます。
それから、「日本食風のメニューの考案」。とはいってもゼロから考えるのではなく、シェフの試作品を味見して、味付けや食材のアドバイスをする程度。
あとは、極めて珍しい例だとは思うのですが、「被災した際の復興ボランティア」なんてのもありました。日本といえば地震大国ですが、所変われば主な災害も変わるもので、私の働いていた島にハリケーンが直撃したため全店が急遽休業。通常業務の代わりに、瓦礫や窓ガラスの撤去作業などにお給料が発生するという事態になったことも……まあ、これは本当に珍しい例だと思うので割愛します。
ハミルトン島での休日の過ごし方
余談ですが、私が就労していた職場は島だったので、月に1~2度、職員が買い出しなどを行うための、オーストラリア本土への往復船が出ていました。
また、島内には職員向けの施設やサービスが整っており、休日は売店やレストランバーなどで時間を潰すか、職員向けのプールやジムに通う人がほとんど。
ちなみにレストランバーにはフリーWi-Fiもありましたが、電波は最弱。職員用の寮にもインターネット設備はありません。このため、基本的にはインターネットとはほぼ無縁の生活になります。リゾートバイトでは、このような職場けっして珍しくはないとのこと。携帯電話は、電波塔が運よく立っている地域であれば、通じることもあるようです。
また、忙しい時期であれば、手の足りない職場が臨時スタッフを募集している場合があるので、そこに立候補して任意の休日出勤をすることも可能です。この場合、支払われるお給料はいつもよりも割増し。お金が欲しくて体力に余裕のある人ならば、積極的に立候補してみるのもいいかもしれません。
職員寮について
私の場合は、週の家賃が約90$(7,200円程度)の、二人一組のシェアハウスでした。
シャワーとトイレが付いており、備え付けの家具等はベッド・押し入れ・タンス・食卓用のテーブルとイス程度。キッチンにはコンロがありますが、ガスが出るだけで、マッチやライターがなければ火はつけられません。
また、鍋やフライパンなどの調理器具、皿や食器もないので、自分で調達してくる必要があります。あと、インターネットもなし。
他のリゾートバイト職員に話を聞くと、もう少し高い家賃を払う代わりにオウンルーム(一人一部屋、同居人無し)が支給されたり、キッチンの設備が充実したり、色々あるようでした。
それまで暮らしていたシドニー近郊と比較しても、家賃の平均が週に120~140$だったので、まあ妥当かな、というところ。
職場までは徒歩15~20分。島を定期的に巡回するシャトルバスがあるので、これを利用すればもう少し早いです。また運が良いとお客様を送迎する係のスタッフが拾ってくれて、職場まで送り届けてくれます。通勤でストレスを感じることは、あまりありませんでした。
職場の人間関係
国籍と英語格差
キッチンハンドの場合、厨房で働く同僚の多くは、自分と同じ境遇のリゾートバイトスタッフです。英語の母語話者でないもの同士、使う語彙にもそこまで差はないので、英語での会話に慣れていれば、そこまで意思疎通に苦労はしません。
ただ、そのセクションのリーダーや、時々「ちゃんと働いているか」「就労環境に問題はないか」みたいなのをチェックしに来る人事部の方とも話す機会があるのですが、彼らはがっつり本国(オーストラリア)出身なので、時々向こうの言っていることが分からなくて困らせてしまうこともありました。
ちなみに国籍の割合ですが、私の働いていたレストランでは、フィリピン出身が圧倒的に多かったです。次いで中国と韓国、その下は団子。日本人は私ともう一人だけ。英語での対応が多いホールスタッフだと、カナダとイギリスが圧倒的でした。ヨーロッパ語圏のスタッフも、英語が流暢であればこちらに配属されます。
日本のような厳しい上下関係はないのか?
人間関係に関しては、基本的には円滑です。
周りのリゾートバイト仲間に聞いても、ギスギスしているだとか、意地悪な上司がいるだとか、そういった話はありませんでした。先輩後輩の概念もなく、向こうが年上だろうが冗談言ったり生意気な口を利いたりしてもお咎めはなし。
そうは言っても、我々日本人にとっては、自分よりずっと年上の上司相手に、友人のように話しかけるのにはずいぶんと抵抗があるもので。私も初めは「Would you ~?」だとか「My pleasure」だとか堅苦しい英語を使っていたのですが、一度個人的な呼び出しをくらってしまい、
「○○(私の名前)、丁寧なのはいいことだけど、頼むから止めて欲しい。俺たちは対等だ、同じ職場で働く仲間だろ!」
と、アツいトーンで語られるなどしました。そういうもののようです。
ただ、初対面だったり、お客様が相手だったりする場合や、そのセクションのトップの方に対しては、さすがに敬語かつ敬称です。「ヘイブラザー!」みたいなノリで話しかけたらもうアウト中のアウトですので、お気をつけて。
前述のような英語ハラスメントを受けることもありますが、これに関しては必ずしも起こり得るものではないでしょう。我が身に起きたことを振り返ってみれば、普段の人付き合いだとか、要領の良さだとか、職場でいかに上手く立ち回るか次第で、いくらでも回避可能なことではあったかと思います。
就労を終えるにあたって
現行のワーキングホリデービザでは、ひとところで6ヵ月以上の就労を続けることは出来ません。
そのため、だいたい4~5カ月ほど勤続したくらいで、上司から「6ヵ月フルで働くかどうか」「そうでない場合、何月何日まで働くか」というのを聞かれます。
万が一聞かれない場合は、自分から伝えに行く必要があります。こちらから希望を伝えてしばらく(私の場合は一週間ほどでした)して、上司から正式に最終出勤日が通達されます。
また、だいたい入れ替わり頃の時期に新人が入ってくるので、彼らに仕事を説明しながらの就労になります。人手が増えるので、ちょっと楽ができるように。
最終出勤日が来る前に荷物などを整理して、本国の友人やエージェント当てに郵送。航空機の手配や宿泊先の予約など、早めに済ませておくとお金が浮くのでおススメ。
もしも余裕があれば、同僚とお別れパーティを企画したり、お土産を買ったり、思い出作りにリゾート地で何かしらのアクティビティを体験してもいいかと思います。
海外リゾートバイトに挑戦するには「英語力」が必須です!しかし、日本でのリゾートバイトは少しでも英語ができればOKなので自信のない方は徐々にレベルアップを目指しましょう。
これから海外リゾートバイトを考えている人へ
いかがでしたでしょうか。私の体験が少しでも参考になれば、うれしく思います。
最後に、これから海外リゾートバイトを考えている方々へ向けて、いくつかのアドバイスを書き留めて、この記事の〆とさせていただきます。
おススメの携行品
私が「持って行ってよかった」と個人的に思った、幾つかのアイテムをご紹介。
・ポケットWi-Fi
これはかなり賛否が分かれるかと思うのですが、個人的にはマストアイテムでした。リゾートバイトといえば基本的には僻地への派遣となるので、携帯サービスが圏外なのは当たり前。運よく電波塔が建設されている地域だったとしても、電波が入ったり入らなかったりするような微弱なものです。
居住区にインターネットのサービスが付いていないというのも珍しいことではありません。職員も使える共用のレストランやバーなどに、フリーWi-Fiが飛んでいることもあるのですが、前述のとおり電波は激弱。
身一つで赴けば、今までのように自由にインターネットにアクセスできる環境は用意されていない、ということです。
一方で、「インターネットがあるとついつい時間を取られてしまう。せっかくの海外リゾートバイトなんだから、満喫しなきゃ損!」という意見もあります。一理あるとは思うのですが、それでも私は断固として、インターネット環境を整えていくことをおススメします。
というのも、知人に「2~3ヵ月ほどで有給インターンシップを終えてしまい、すぐに帰国してしまった」という人が数名いたのです。彼らが口を揃えて言うには、「飽きてしまった」「やることがなくて辛い」とのこと。これは決して彼らが意志薄弱な人間だったわけではなく、それほどまでに耐えがたい退屈が待ち受けているということなのです。
例えば、体を動かすのが趣味で、休日は毎日ランニングに出かけたりプールで泳いだり、同僚とスポーツなどをしていれば満足、というタイプの方には、不要なものかもしれません。或いは料理だとか、映画鑑賞だとか、一人で何十時間も遊べるような骨太の携帯ゲームだとか。
そうじゃない限り、「仕事をしていない時間に何をするのか」というのは、孤独な環境で仕事を続けていくためにはとても重要なことです。
インターネットにつながってさえいれば、電子書籍も読めるし、「ちょっと気になった/分からなかった英語表現」も手軽に調べられるし、エージェントや家族・友人ともオンラインの通話サービスで迅速に連絡が取れます。リゾートの綺麗な景色や珍しい動物などを写真に収めて、SNSにアップすることだって、インターネットがなければ不可能なのです。
なんでもないちょっとしたことのように見えるかもしれませんが、これが意外と心の支えになってくれます。
(ちなみに、私が契約していったのはオーストラリアのTelstraという会社のポケットWi-Fiでした。月額およそ5,000円のプランに加入しており、20GBまでは毎月使い放題でした。日々の英語学習やSNSへのアクセス、友人やエージェントとのオンライン通話などであれば、さして不便を感じることなく乗り切れますが、Youtubeなどの動画視聴サイトを見ると一瞬で容量を越えてしまいます。ご参考までに。)
もちろん、契約する前に「現地で電波が入るかどうか」の確認をお忘れなく。日本で買っていくよりも、現地で契約を結ぶ方が確実かと思われます。
・水着&運動着
就労先がリゾートビーチであるとか、プールやジムなどの運動施設が併設されている場合は、ぜひ持って行ってください。そういったことに興味がなくても、同僚から誘われます。職場の外で同僚と遊ぶことで、働く上での人間関係もより円滑になります。
・フォーマルな私服
同上。ちょっとお高めのレストランなどに誘われることもあるので。スーツやドレスのようなお高いものではなく、リゾート観光客に交じっても違和感のないようなほどほどのものを。
・書籍
読書にあまり縁がない人でも、意外と時間を潰す手助けになってくれるのでおススメです。特に、「一度読んで終わり」タイプの短編小説などではなく、「何度でも読み返せる」タイプのエッセイや長編小説がおススメです。ここで読み潰した読書は、その後一生残る愛読書にもなってくれたりしますので、厳選しましょう。
・勉強道具
マストアイテムですよね。僻地のため、ノートやボールペンひとつとっても手に入れるのに苦労しますので、ちょっと余裕を持って揃えておくと良いと思います。参考書も、単語帳や問題集などのような味気ないものばかりではなく、自分が英語表現を使って話す際のサンプルとなるような、英語の文章が書かれているものが良いと思います。
私は、日英対訳の『日本の論点』や『菊と刀』などのような実用書を持っていきました。簡単な英語で書かれており、内容自体も勉強になるのでおススメです。
・肌着
特にキッチンハンドとして働く人は、多めに持って行ってください。汗や油を吸い込んで、割とすぐにダメになります。そして、意外と売っていません……。
・睡眠薬、頭痛薬、胃腸薬など
特に最初の内は、筋肉痛がひどくて眠れません。ストレスが溜まってくると胃腸にくるタイプの人や、湿度や気温の変化で頭痛を経験したことがある人も、ご注意を。
海外の薬は日本と薬事法が異なるため、成分や薬効が違うことも多いです。日本から愛用しているものを持っていくことをおススメします。救急医療セットのような形で、まとめて持っていくと良いと思います。
オーストラリアでの海外リゾートバイトの始め方
留学エージェントを利用する場合と、企業へ直接応募する方法の大まかに2通りあります。
メリット…語学力チェックさえ受かれば、ほぼ確実に仕事に就ける
デメリット…手数料が高い/サービスの質にはバラつきがある
メリット…手数料はなし/自由に仕事を選べる
デメリット…ネイティブ並みの英語力必須/問題が起きても自己責任
詳細は別記事でお伝えしていますが、よほどの覚悟と実力と運を兼ね備えている人でなければ、企業へ直接応募の道はオススメできません。個人的には、デメリットを呑み込んででもエージェントを利用することを、強くお勧めします。
関連記事①海外有給インターンに必要な英語力は?手続き方法や面接について解説
関連記事②リゾートバイト派遣会社ランキング(8回リゾバしてわかったおすすめの会社)
最後に…
今まで暮らしていた場所から遠く離れたところで、自分で何もかも面倒な手続きをこなして、英語しか通じない環境で働く、だなんて、想像するだけでも怖いことですよね。もしかして、「自分にできるだろうか、無理なんじゃないか」って、道を閉ざそうとしていませんか。
少なくとも私の周りに、「海外リゾートバイトを経験して後悔した」と話している人は、一人もいません。私自身も、敢えて辛かったことも包み隠さず書きましたが、それでもこの経験があったからこそ、英語力にも自分の能力に対しても自信が持てるようになりました。溜まったお金で旅行にも行けたし、美味しいものもたくさん食べました。
少しでもやってみたいという気持ちがあるのなら、ぜひ一歩踏み出してみてください。
関連記事①【おすすめ場所15選】リゾートバイト初心者へ|経験8回の私が季節別の人気も紹介